ペルシャ時代からの伝統的な楽器で、ペルシャ語の سه تار は「3本の弦」という意味。セ が「3」で、タール が「弦」。ちなみに、ペルシャ語やアラビア語は右から書くので سه が「3」で تار が「弦」となるのだろう。英語ではSehtar または Setar。
でもさ、ペグ(糸巻き)の数からすると4弦あるじゃない。そうですね、3本ではなく4本ある。1700年頃に1本追加されて4弦になったのでけれども、現在でも セタール(3本弦)という名で通っていて、それが定着しているからだそうだ。
フレットは可動式であり、細長いネックに25~27本のガットをぐるりと巻きつけてある。弦は金属で張りが弱いので、金属独特の心地良い雑音を伴い、音程は少々ゆらぐ。
この「ゆらぎ」、言い換えれば不安定な音であるが、日本人にとってどこか異教の地を連想さる音である。怪しげであり、突然何か新しいことが起こりそうな予感をさせる音でもある。